事件番号令和1(ワ)916
事件名不当利得返還等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年5月13日
事案の概要本件は,日本育英会(被告の被承継団体。以下,承継の前後を問わず「被告」ということがある。)から第2種奨学金を借り受けた元奨学生の保証人であった原告1と,同保証人であった亡2が,被告の請求により,自己の保証債務額(貸金返還債務の各2分の1)を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して,原告1及び原告2(亡2の相続人)が,下記金員の支払を求めている事案である。
判示事項の要旨被告から奨学金を借り受けた元奨学生の単純保証人(又はその相続人)であった原告らが,被告の請求により,自己の保証債務額を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して,不当利得に基づく過払元金及びこれに対する利息並びに不法行為に基づく慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において,

① 保証人が複数人いる場合,各保証人は平等の割合をもって分割された額についてのみ保証債務を負担するという分別の利益を有しているから,他に保証人が1人いたという本件においては,奨学金の残債務の2分の1の限度でのみ保証債務を負い,分別の利益を有していることを知らずに自己の負担を超える部分を自己の保証債務と誤信してした弁済は非債弁済に当たるから,保証人による自己の負担を超える部分に対する弁済は無効であり超過部分相当額の不当利得返還請求権を有する,

② 債権者が,分別の利益を有する保証人から負担限度を超える支払を受けた場合にこれが不当利得になるのかについては,種々の見解が激しく対立しており,いずれの見解を是とすべきかは必ずしも明らかとはいえなかったことなどから,支払を受けた当時において当然に悪意の受益者であったということはできず,支払元金に対する利息の請求は認められない,

③ 保証人は,自己の負担を超える部分の弁済を行うことを選択できる立場にあり,主債務者等に後日求償権を行使することも可能であることから,債権者の請求が直ちに不法行為に当たるとはいえない,

とされた事例。
事件番号令和1(ワ)916
事件名不当利得返還等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年5月13日
事案の概要
本件は,日本育英会(被告の被承継団体。以下,承継の前後を問わず「被告」ということがある。)から第2種奨学金を借り受けた元奨学生の保証人であった原告1と,同保証人であった亡2が,被告の請求により,自己の保証債務額(貸金返還債務の各2分の1)を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して,原告1及び原告2(亡2の相続人)が,下記金員の支払を求めている事案である。
判示事項の要旨
被告から奨学金を借り受けた元奨学生の単純保証人(又はその相続人)であった原告らが,被告の請求により,自己の保証債務額を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して,不当利得に基づく過払元金及びこれに対する利息並びに不法行為に基づく慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において,

① 保証人が複数人いる場合,各保証人は平等の割合をもって分割された額についてのみ保証債務を負担するという分別の利益を有しているから,他に保証人が1人いたという本件においては,奨学金の残債務の2分の1の限度でのみ保証債務を負い,分別の利益を有していることを知らずに自己の負担を超える部分を自己の保証債務と誤信してした弁済は非債弁済に当たるから,保証人による自己の負担を超える部分に対する弁済は無効であり超過部分相当額の不当利得返還請求権を有する,

② 債権者が,分別の利益を有する保証人から負担限度を超える支払を受けた場合にこれが不当利得になるのかについては,種々の見解が激しく対立しており,いずれの見解を是とすべきかは必ずしも明らかとはいえなかったことなどから,支払を受けた当時において当然に悪意の受益者であったということはできず,支払元金に対する利息の請求は認められない,

③ 保証人は,自己の負担を超える部分の弁済を行うことを選択できる立場にあり,主債務者等に後日求償権を行使することも可能であることから,債権者の請求が直ちに不法行為に当たるとはいえない,

とされた事例。
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