事件番号令和1(行ウ)634
事件名助成金不交付決定処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年6月21日
事案の概要本件は,映画製作会社である原告が,その製作映画である「宮本から君へ」(以下「本件映画」という。)について,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長(処分行政庁。以下「被告理事長」という。)による内定を経て,平成31年度の文化芸術振興費補助金に係る助成金(映画製作への支援に係るもの。以下「本件助成金」という。)の交付申請をしたところ,被告理事長から,本件映画の出演俳優のうち1名(以下「本件出演者」という。)につき麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻薬取締法」という。)違反による有罪判決が確定したことを理由として,令和元年7月10日付けで本件助成金を交付しない旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたことから,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項映画製作会社がした文化芸術振興費補助金に係る助成金の交付申請に対し,その製作映画の出演俳優が麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪判決を受けたことを理由に上記助成金を交付しないとした処分が,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
裁判要旨映画製作会社がした文化芸術振興費補助金に係る助成金の交付申請に対し,その製作映画の出演俳優が麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪判決を受けたことを理由に上記助成金を交付しないとした処分は,①当該映画につき,芸術的観点からの専門的知見に基づく審査の結果を踏まえて交付内定がされていたこと,②上記助成金の交付によって上記俳優が利得を得るものではなく,上記処分の根拠とされた薬物乱用の防止という公益との関係で,違法薬物に対する許容的な態度が一般に広まるおそれがあるとはいえないこと,③上記処分により上記会社に生じる不利益は,映画製作事業の実施に係る経済的な面においても,また,映画表現の重要な要素の選択に関する自主性の確保の面においても小さいものとはいえないことなど判示の事情の下では,交付内定の審査における芸術的観点からの専門的知見に基づく判断を尊重する要綱の定めや仕組みを踏まえてもなお上記助成金を交付しないことを相当とする合理的理由があるということはできず,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。
事件番号令和1(行ウ)634
事件名助成金不交付決定処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年6月21日
事案の概要
本件は,映画製作会社である原告が,その製作映画である「宮本から君へ」(以下「本件映画」という。)について,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長(処分行政庁。以下「被告理事長」という。)による内定を経て,平成31年度の文化芸術振興費補助金に係る助成金(映画製作への支援に係るもの。以下「本件助成金」という。)の交付申請をしたところ,被告理事長から,本件映画の出演俳優のうち1名(以下「本件出演者」という。)につき麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻薬取締法」という。)違反による有罪判決が確定したことを理由として,令和元年7月10日付けで本件助成金を交付しない旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたことから,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項
映画製作会社がした文化芸術振興費補助金に係る助成金の交付申請に対し,その製作映画の出演俳優が麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪判決を受けたことを理由に上記助成金を交付しないとした処分が,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
裁判要旨
映画製作会社がした文化芸術振興費補助金に係る助成金の交付申請に対し,その製作映画の出演俳優が麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪判決を受けたことを理由に上記助成金を交付しないとした処分は,①当該映画につき,芸術的観点からの専門的知見に基づく審査の結果を踏まえて交付内定がされていたこと,②上記助成金の交付によって上記俳優が利得を得るものではなく,上記処分の根拠とされた薬物乱用の防止という公益との関係で,違法薬物に対する許容的な態度が一般に広まるおそれがあるとはいえないこと,③上記処分により上記会社に生じる不利益は,映画製作事業の実施に係る経済的な面においても,また,映画表現の重要な要素の選択に関する自主性の確保の面においても小さいものとはいえないことなど判示の事情の下では,交付内定の審査における芸術的観点からの専門的知見に基づく判断を尊重する要綱の定めや仕組みを踏まえてもなお上記助成金を交付しないことを相当とする合理的理由があるということはできず,独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。
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