事件番号令和2(う)140
事件名重過失失火,重過失致死傷被告事件
裁判所広島高等裁判所 第1部
裁判年月日令和3年4月22日
結果棄却
原審裁判所広島地方裁判所
原審事件番号平成30(わ)145
事案の概要被告人は,広島市a区b町所在のビル(木造瓦ぶき2階建て,床面積合計約498.9㎡。以下「本件建物」という。)1階の飲食店(以下「本件飲食店」という。)に店長として勤務していたものであるが,平成27年10月8日午後9時40分頃,Aら49名が現にいる本件建物の1階南側階段東側スペース(以下「本件スペース」という。)において,発見した1匹のごきぶりを駆除するに当たり,アルコール製剤に点火して噴霧すると大きな噴霧火炎が生じることをかねてから認識し,さらに,そのごきぶりの周囲には段ボール箱,発泡スチロール,廃油が入ったペール缶等の可燃物が存在していることも認識していたのであるから,ごきぶり駆除の手段として本件スペースでアルコール製剤に点火して噴霧することを厳に差し控えるなどして火災の発生を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠り,そのごきぶりを炎を用いて駆除しようと考え,本件スペースの床に落ちたそのごきぶりに向けて,アルコール製剤をガスバーナーの火炎で点火しながらトリガーボトルで噴霧する行為(以下「火炎放射行為」という。)を2回行い,更に続けて,そのごきぶりの周囲の床面に付着したアルコール製剤が燃焼を続けている状況で,そのごきぶりに向けて,アルコール製剤をトリガーボトルで噴霧する行為(以下「アルコール噴霧行為」という。)を二,三回行うなどして(以下,本件スペースで火炎放射行為を2回行い,アルコール噴霧行為を二,三回行うなどした一連の行為を「本件行為」という。)炎を生じさせた重大な過失により,上記段ボール箱等に着火させて火を失し,その火を本件スペースの壁,天井等に燃え移らせ,よって,本件建物を全焼させて焼損するとともに,上記Aら3名を死亡させ,Bら3名に傷害を負わせた。
判示事項の要旨繁華街に所在するビルが火災により全焼し,3名が死亡し,3名が傷害を負った事案において,上記火災と,上記ビル1階所在の飲食店の店長であった被告人がごきぶり駆除のためアルコール製剤をガスバーナーの火炎で点火しながらトリガーボトルで噴霧するなどした行為との間の因果関係及び上記被告人の重過失を肯定し,上記被告人に重過失失火罪及び重過失致死傷罪の成立を認めた原判決の判断が是認された事例
事件番号令和2(う)140
事件名重過失失火,重過失致死傷被告事件
裁判所広島高等裁判所 第1部
裁判年月日令和3年4月22日
結果棄却
原審裁判所広島地方裁判所
原審事件番号平成30(わ)145
事案の概要
被告人は,広島市a区b町所在のビル(木造瓦ぶき2階建て,床面積合計約498.9㎡。以下「本件建物」という。)1階の飲食店(以下「本件飲食店」という。)に店長として勤務していたものであるが,平成27年10月8日午後9時40分頃,Aら49名が現にいる本件建物の1階南側階段東側スペース(以下「本件スペース」という。)において,発見した1匹のごきぶりを駆除するに当たり,アルコール製剤に点火して噴霧すると大きな噴霧火炎が生じることをかねてから認識し,さらに,そのごきぶりの周囲には段ボール箱,発泡スチロール,廃油が入ったペール缶等の可燃物が存在していることも認識していたのであるから,ごきぶり駆除の手段として本件スペースでアルコール製剤に点火して噴霧することを厳に差し控えるなどして火災の発生を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠り,そのごきぶりを炎を用いて駆除しようと考え,本件スペースの床に落ちたそのごきぶりに向けて,アルコール製剤をガスバーナーの火炎で点火しながらトリガーボトルで噴霧する行為(以下「火炎放射行為」という。)を2回行い,更に続けて,そのごきぶりの周囲の床面に付着したアルコール製剤が燃焼を続けている状況で,そのごきぶりに向けて,アルコール製剤をトリガーボトルで噴霧する行為(以下「アルコール噴霧行為」という。)を二,三回行うなどして(以下,本件スペースで火炎放射行為を2回行い,アルコール噴霧行為を二,三回行うなどした一連の行為を「本件行為」という。)炎を生じさせた重大な過失により,上記段ボール箱等に着火させて火を失し,その火を本件スペースの壁,天井等に燃え移らせ,よって,本件建物を全焼させて焼損するとともに,上記Aら3名を死亡させ,Bら3名に傷害を負わせた。
判示事項の要旨
繁華街に所在するビルが火災により全焼し,3名が死亡し,3名が傷害を負った事案において,上記火災と,上記ビル1階所在の飲食店の店長であった被告人がごきぶり駆除のためアルコール製剤をガスバーナーの火炎で点火しながらトリガーボトルで噴霧するなどした行為との間の因果関係及び上記被告人の重過失を肯定し,上記被告人に重過失失火罪及び重過失致死傷罪の成立を認めた原判決の判断が是認された事例
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