事件番号令和1(行ウ)174
事件名懲戒処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和3年5月27日
事案の概要本件は,原告が,原告の行為は税理士法36条が禁止する脱税に関する「相談」に当たらないから本件処分は違法であるなどと主張して,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項1 税理士が,他の税理士から,当該他の税理士の関与先である会社の法人税の申告に当たり,課税所得が生じないようにしてほしいと依頼を受けたことに対し,当該会社の元代表取締役が生前にした当該会社に対する債務免除の額をその死後において変更することを提案した行為が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとされた事例
2 税理士が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分が,適法とされた事例
裁判要旨1 税理士が,他の税理士から,当該他の税理士の関与先であるA社の法人税の申告に当たり,課税所得が生じないようにしてほしいと依頼を受けたことに対し,A社の元代表取締役であるBが生前にしたA社に対する債務免除の額をその死後において変更することを提案した行為は,当該行為に先行して,当該税理士がBの子であるCの依頼を受けてBの相続対策を引き受けて,その一環として,BがA社に対する貸付金債権のうち一定額について債務免除する旨の債権放棄通知書のデータファイルを作成してその印刷したものをCに交付し,Bにその内容を確認させて押印させたこと,当該行為は,A社が法人税の納税義務を免れるための相談を受けたのに対し,BがA社に対して生前にしていた債務免除額を減額させ,A社が法人税の納税義務を免れることを提案したものといえることなどの判示の事情の下においては,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たる。
2 税理士が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,当該税理士に懲戒処分歴がないという事情を考慮したとしても,裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用があるということはできず,適法である。
(1) 当該税理士は,BのA社に対する貸付金債権のうち4億1300万円について債務免除の法的効果が生じていたにもかかわらず,Bの死後,当該他の税理士から,A社に課税所得が生じないようにしてほしい旨の依頼を受けたことに対し,BのA社に対する債務免除の額を3億円に変更することを提案したのであり,当該税理士の責任を問い得る不正所得金額等は1億1300万円というべきである。
(2) 当該税理士の行為は,それ自体が悪質な行為である上,当該行為に関連して当該税理士がデータファイルを作成したBがA社に対する貸付金債権のうち3億円について債務免除する旨の債権放棄通知書は,Bが既に死亡していることを当該税理士が認識した上で死者であるBの名義を冒用したものである。
事件番号令和1(行ウ)174
事件名懲戒処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和3年5月27日
事案の概要
本件は,原告が,原告の行為は税理士法36条が禁止する脱税に関する「相談」に当たらないから本件処分は違法であるなどと主張して,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項
1 税理士が,他の税理士から,当該他の税理士の関与先である会社の法人税の申告に当たり,課税所得が生じないようにしてほしいと依頼を受けたことに対し,当該会社の元代表取締役が生前にした当該会社に対する債務免除の額をその死後において変更することを提案した行為が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとされた事例
2 税理士が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分が,適法とされた事例
裁判要旨
1 税理士が,他の税理士から,当該他の税理士の関与先であるA社の法人税の申告に当たり,課税所得が生じないようにしてほしいと依頼を受けたことに対し,A社の元代表取締役であるBが生前にしたA社に対する債務免除の額をその死後において変更することを提案した行為は,当該行為に先行して,当該税理士がBの子であるCの依頼を受けてBの相続対策を引き受けて,その一環として,BがA社に対する貸付金債権のうち一定額について債務免除する旨の債権放棄通知書のデータファイルを作成してその印刷したものをCに交付し,Bにその内容を確認させて押印させたこと,当該行為は,A社が法人税の納税義務を免れるための相談を受けたのに対し,BがA社に対して生前にしていた債務免除額を減額させ,A社が法人税の納税義務を免れることを提案したものといえることなどの判示の事情の下においては,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たる。
2 税理士が,税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ,又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき,…相談に応じ」に当たるとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,当該税理士に懲戒処分歴がないという事情を考慮したとしても,裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用があるということはできず,適法である。
(1) 当該税理士は,BのA社に対する貸付金債権のうち4億1300万円について債務免除の法的効果が生じていたにもかかわらず,Bの死後,当該他の税理士から,A社に課税所得が生じないようにしてほしい旨の依頼を受けたことに対し,BのA社に対する債務免除の額を3億円に変更することを提案したのであり,当該税理士の責任を問い得る不正所得金額等は1億1300万円というべきである。
(2) 当該税理士の行為は,それ自体が悪質な行為である上,当該行為に関連して当該税理士がデータファイルを作成したBがA社に対する貸付金債権のうち3億円について債務免除する旨の債権放棄通知書は,Bが既に死亡していることを当該税理士が認識した上で死者であるBの名義を冒用したものである。
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