事件番号平成30(行ウ)93
事件名国籍確認等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年1月21日
事案の概要本件は,日本国籍を有していたものの,その後スイス連邦(以下「スイス」という。)又はリヒテンシュタイン公国(以下「リヒテンシュタイン」という。)の国籍を自己の志望により取得した原告1ないし原告6と,現在日本国籍のみを有しており,スイス国籍又はフランス共和国(以下「フランス」という。)国籍の取得を希望している原告7及び原告8が,国籍法11条1項は憲法の規定に違反して無効であると主張して,①原告1ないし原告6については,それぞれ日本国籍を有することの確認を求めるとともに,同項の改正を行わない立法不作為が国家賠償法上違法であるとして,被告に対し,当該原告らが被った精神的苦痛に対する損害の賠償として各55万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,②原告7及び原告8については,当該原告らが外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認をそれぞれ求める事案である。
判示事項1 国籍法11条1項と憲法10条,13条,22条2項
2 国籍法11条1項と憲法14条1項
裁判要旨1 憲法13条及び22条2項が,日本国籍の離脱を強制されない権利を保障しているとは解し難く,また,仮に日本国籍を意思に反して奪われない利益又は法的地位が上記憲法の規定等の精神に照らして尊重されるべきものであることから,憲法10条により国籍の得喪に関する要件について立法府に与えられた裁量に一定の制約が及び得るとしても,国籍法11条1項の規定は,立法府に与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものとはいえないから,憲法10条,13条及び22条2項に違反しない。
2 国籍法11条1項が,日本国籍を有する者が自己の志望により外国籍を取得した場合について,①身分行為等により外国籍を当然に取得した結果として重国籍となる場合,②出生により日本国籍と外国籍の重国籍を取得した場合及び③外国人が届出又は帰化により日本国籍を取得した結果として重国籍となる場合とは異なり,当然に日本国籍を喪失する旨定めていることは,憲法14条1項に違反しない。
事件番号平成30(行ウ)93
事件名国籍確認等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年1月21日
事案の概要
本件は,日本国籍を有していたものの,その後スイス連邦(以下「スイス」という。)又はリヒテンシュタイン公国(以下「リヒテンシュタイン」という。)の国籍を自己の志望により取得した原告1ないし原告6と,現在日本国籍のみを有しており,スイス国籍又はフランス共和国(以下「フランス」という。)国籍の取得を希望している原告7及び原告8が,国籍法11条1項は憲法の規定に違反して無効であると主張して,①原告1ないし原告6については,それぞれ日本国籍を有することの確認を求めるとともに,同項の改正を行わない立法不作為が国家賠償法上違法であるとして,被告に対し,当該原告らが被った精神的苦痛に対する損害の賠償として各55万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,②原告7及び原告8については,当該原告らが外国籍を取得しても日本国籍を失わない地位にあることの確認をそれぞれ求める事案である。
判示事項
1 国籍法11条1項と憲法10条,13条,22条2項
2 国籍法11条1項と憲法14条1項
裁判要旨
1 憲法13条及び22条2項が,日本国籍の離脱を強制されない権利を保障しているとは解し難く,また,仮に日本国籍を意思に反して奪われない利益又は法的地位が上記憲法の規定等の精神に照らして尊重されるべきものであることから,憲法10条により国籍の得喪に関する要件について立法府に与えられた裁量に一定の制約が及び得るとしても,国籍法11条1項の規定は,立法府に与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものとはいえないから,憲法10条,13条及び22条2項に違反しない。
2 国籍法11条1項が,日本国籍を有する者が自己の志望により外国籍を取得した場合について,①身分行為等により外国籍を当然に取得した結果として重国籍となる場合,②出生により日本国籍と外国籍の重国籍を取得した場合及び③外国人が届出又は帰化により日本国籍を取得した結果として重国籍となる場合とは異なり,当然に日本国籍を喪失する旨定めていることは,憲法14条1項に違反しない。
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