事件番号令和2(ネ)1866
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和3年11月18日
結果その他
原審裁判所大阪地方裁判所 堺支部
原審事件番号平成27(ワ)1061
事案の概要本件は,原審被告会社に雇用され,大韓民国(以下「韓国」という。)の国籍を有する原審原告が,原審被告会社及びその代表取締役会長である原審被告Aから,㋐中華人民共和国(以下「中国」という。)・韓国・朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」といい,これら3か国を併せて「中韓北朝鮮」という。)の国籍を有する者等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料が職場で大量に配布されてその閲読を余儀なくされ,㋑都道府県の教育委員会が開催する教科書展示会へ参加した上で原審被告らが支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出することを余儀なくされたほか,㋒前記㋐及び㋑が違法であるとして本件訴訟を提起したところ,その提起を誹謗中傷する旨の従業員の感想文等が職場で配布されたことにより報復的非難を受け,これらにより原審原告の人格権又は人格的利益が侵害された旨主張して,原審被告Aに対しては不法行為に基づいて,原審被告会社に対しては会社法350条,労働契約の債務不履行又は不法行為に基づいて,いずれも損害賠償請求として,連帯して3300万円(慰謝料及び弁護士費用の合計)及びこれに対する不法行為日の後(訴状送達日の翌日)である平成27年10月8日から支払済みまで民法(ただし,平成29年法律第44号附則17条3項によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前の民法。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨使用者が,(1)韓国籍を有する従業員のいる職場で,中国・韓国・北朝鮮の国籍を有する者等を誹謗中傷する民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料等を大量かつ継続的に配布したこと,(2)教育委員会が開催する教科書展示会へ参加して使用者が支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出するよう勧奨したこと,(3)同従業員が前記(1)及び(2)が違法であるとして使用者に対して損害賠償請求訴訟を提起したところ,その提起を誹謗中傷する旨の他の従業員の感想文等を職場で配布したことについて,(ア)不法行為に基づく損害賠償請求が認容されるとともに,(イ)人格的利益に基づき,韓国の国籍や民族的出自を有する者等を侮辱する内容や前記訴訟の提起・追行自体を批判・誹謗中傷する内容を含む文書の職場内での配布の差止めが命じられた事例
事件番号令和2(ネ)1866
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和3年11月18日
結果その他
原審裁判所大阪地方裁判所 堺支部
原審事件番号平成27(ワ)1061
事案の概要
本件は,原審被告会社に雇用され,大韓民国(以下「韓国」という。)の国籍を有する原審原告が,原審被告会社及びその代表取締役会長である原審被告Aから,㋐中華人民共和国(以下「中国」という。)・韓国・朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」といい,これら3か国を併せて「中韓北朝鮮」という。)の国籍を有する者等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料が職場で大量に配布されてその閲読を余儀なくされ,㋑都道府県の教育委員会が開催する教科書展示会へ参加した上で原審被告らが支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出することを余儀なくされたほか,㋒前記㋐及び㋑が違法であるとして本件訴訟を提起したところ,その提起を誹謗中傷する旨の従業員の感想文等が職場で配布されたことにより報復的非難を受け,これらにより原審原告の人格権又は人格的利益が侵害された旨主張して,原審被告Aに対しては不法行為に基づいて,原審被告会社に対しては会社法350条,労働契約の債務不履行又は不法行為に基づいて,いずれも損害賠償請求として,連帯して3300万円(慰謝料及び弁護士費用の合計)及びこれに対する不法行為日の後(訴状送達日の翌日)である平成27年10月8日から支払済みまで民法(ただし,平成29年法律第44号附則17条3項によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前の民法。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨
使用者が,(1)韓国籍を有する従業員のいる職場で,中国・韓国・北朝鮮の国籍を有する者等を誹謗中傷する民族差別を内容とする政治的見解が記載された資料等を大量かつ継続的に配布したこと,(2)教育委員会が開催する教科書展示会へ参加して使用者が支持する教科書の採択を求める旨のアンケートを提出するよう勧奨したこと,(3)同従業員が前記(1)及び(2)が違法であるとして使用者に対して損害賠償請求訴訟を提起したところ,その提起を誹謗中傷する旨の他の従業員の感想文等を職場で配布したことについて,(ア)不法行為に基づく損害賠償請求が認容されるとともに,(イ)人格的利益に基づき,韓国の国籍や民族的出自を有する者等を侮辱する内容や前記訴訟の提起・追行自体を批判・誹謗中傷する内容を含む文書の職場内での配布の差止めが命じられた事例
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