事件番号令和3(ラ)1327
事件名仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
裁判所大阪高等裁判所 第11民事部
裁判年月日令和3年12月7日
結果破棄自判
原審裁判所神戸地方裁判所
原審事件番号令和3(モ)7036
事案の概要基本事件は,抗告人の株主である相手方が,抗告人とイズミヤ及び阪急オアシスとの間の令和3年12月1日を効力発生日とする株式交換(本件各株式交換)につき,同年10月29日に開催された抗告人の臨時株主総会(本件総会)において,これを承認する旨の決議(本件決議)がされたが,本件決議には,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正という決議の取消事由(会社法831条1項1号)があり,これにより抗告人の株主が不利益を受けるおそれ(会社法796条の2柱書本文)があると主張して,抗告人に対する同法796条の2第1号に基づく株式交換差止請求権を被保全権利として,本件各株式交換の仮の差止めを求めた事案である。神戸地方裁判所は,相手方の申立てを相当と認め,相手方に1億5000万円の担保を立てさせて,同年11月22日,これらを認容する決定(以下「本件仮処分決定」という。)をした。抗告人は,同月24日,保全異議の申立てをして,本件仮処分決定の取消しを求めたが,原審裁判所は,本件仮処分決定を認可する旨の決定をした(以下「原決定」という。)
これに対し,抗告人は,原決定を不服として本件保全抗告をした。
なお,抗告人は,原決定を受け,同月26日,イズミヤ及び阪急オアシスとの間で,本件各株式交換につき,効力発生日を同年12月1日から同月15日に変更する旨の合意をした。
判示事項の要旨スーパーマーケットを経営する会社(本件会社)の株主が,本件会社が開催した臨時株主総会でされた本件会社と他2社との各株式交換に係る議案を承認した決議は,賛成として取り扱うことができない株主(本件株主)の議決権行使を賛成として取り扱うことにより成立したものであり,本件株主の議決権行使を賛成として取り扱わなければ議案は可決要件を満たさないから,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正があるなどと主張して,株式交換差止請求権に基づき,各株式交換の仮の差止めを求めたが,これを認容した仮処分決定を認可した原決定を不服とする抗告審において,議長が議場で白紙で投票用紙を提出した本件株主の投票を賛成票として取り扱ったことは,本件株主において事前の議決権行使が撤回されていないと誤認したことがやむを得ず,誤認のために投票に込められた投票時の本件株主の意思(賛成)が投票用紙(棄権)と異なっていたことが明確に認められるから,なお許容されるというべきであり,したがって,上記総会の決議の方法が法令に違反するとも,著しく不公正であるともいえないとして,原決定を取り消し,仮処分決定を取り消した上,仮処分申立てを却下した事例
事件番号令和3(ラ)1327
事件名仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
裁判所大阪高等裁判所 第11民事部
裁判年月日令和3年12月7日
結果破棄自判
原審裁判所神戸地方裁判所
原審事件番号令和3(モ)7036
事案の概要
基本事件は,抗告人の株主である相手方が,抗告人とイズミヤ及び阪急オアシスとの間の令和3年12月1日を効力発生日とする株式交換(本件各株式交換)につき,同年10月29日に開催された抗告人の臨時株主総会(本件総会)において,これを承認する旨の決議(本件決議)がされたが,本件決議には,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正という決議の取消事由(会社法831条1項1号)があり,これにより抗告人の株主が不利益を受けるおそれ(会社法796条の2柱書本文)があると主張して,抗告人に対する同法796条の2第1号に基づく株式交換差止請求権を被保全権利として,本件各株式交換の仮の差止めを求めた事案である。神戸地方裁判所は,相手方の申立てを相当と認め,相手方に1億5000万円の担保を立てさせて,同年11月22日,これらを認容する決定(以下「本件仮処分決定」という。)をした。抗告人は,同月24日,保全異議の申立てをして,本件仮処分決定の取消しを求めたが,原審裁判所は,本件仮処分決定を認可する旨の決定をした(以下「原決定」という。)
これに対し,抗告人は,原決定を不服として本件保全抗告をした。
なお,抗告人は,原決定を受け,同月26日,イズミヤ及び阪急オアシスとの間で,本件各株式交換につき,効力発生日を同年12月1日から同月15日に変更する旨の合意をした。
判示事項の要旨
スーパーマーケットを経営する会社(本件会社)の株主が,本件会社が開催した臨時株主総会でされた本件会社と他2社との各株式交換に係る議案を承認した決議は,賛成として取り扱うことができない株主(本件株主)の議決権行使を賛成として取り扱うことにより成立したものであり,本件株主の議決権行使を賛成として取り扱わなければ議案は可決要件を満たさないから,決議の方法の法令違反かつ著しい不公正があるなどと主張して,株式交換差止請求権に基づき,各株式交換の仮の差止めを求めたが,これを認容した仮処分決定を認可した原決定を不服とする抗告審において,議長が議場で白紙で投票用紙を提出した本件株主の投票を賛成票として取り扱ったことは,本件株主において事前の議決権行使が撤回されていないと誤認したことがやむを得ず,誤認のために投票に込められた投票時の本件株主の意思(賛成)が投票用紙(棄権)と異なっていたことが明確に認められるから,なお許容されるというべきであり,したがって,上記総会の決議の方法が法令に違反するとも,著しく不公正であるともいえないとして,原決定を取り消し,仮処分決定を取り消した上,仮処分申立てを却下した事例
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