事件番号令和2(あ)1087
事件名窃盗,窃盗未遂被告事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日令和4年2月14日
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所仙台高等裁判所
原審事件番号令和2(う)56
原審裁判年月日令和2年7月14日
事案の概要被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,金融庁職員になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え,令和元年6月8日,警察官になりすました氏名不詳者が,山形県西村山郡 a 町内の被害者宅に電話をかけ,被害者(当時79歳)に対し,被害者名義の口座から預金が引き出される詐欺被害に遭っており,再度の被害を防止するため,金融庁職員が持参した封筒にキャッシュカードを入れて保管する必要がある旨うそを言い,さらに,金融庁職員になりすました被告人が,被害者をして,前記キャッシュカードを封筒に入れさせた上,被害者が目を離した隙に,同封筒を別の封筒とすり替えて同キャッシュカードを窃取するため,同日午後4時18分頃,被害者宅付近路上まで赴いたが,警察官の尾行に気付いて断念し,その目的を遂げなかった。
判示事項いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例
裁判要旨被害者に電話をかけキャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要でありこれから訪れる者が作業を行う旨信じさせ,被害者宅を訪れる被告人が封筒に割り印をするための印鑑を被害者に取りに行かせた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードを窃取するという犯行計画に基づいて,すり替えの隙を生じさせる前提となり,被告人が被害者宅を訪問し虚偽の指示等を行うことに直接つながるとともに,被害者に被告人の指示等に疑問を抱かせることなくすり替えの隙を生じさせる状況を作り出すようなうそが述べられ,被告人が被害者宅付近路上まで赴いたなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,被告人が被害者に対してキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をしていないとしても,当該うそが述べられ被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では,窃盗罪の実行の着手が既にあったと認められる。
事件番号令和2(あ)1087
事件名窃盗,窃盗未遂被告事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日令和4年2月14日
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所仙台高等裁判所
原審事件番号令和2(う)56
原審裁判年月日令和2年7月14日
事案の概要
被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,金融庁職員になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え,令和元年6月8日,警察官になりすました氏名不詳者が,山形県西村山郡 a 町内の被害者宅に電話をかけ,被害者(当時79歳)に対し,被害者名義の口座から預金が引き出される詐欺被害に遭っており,再度の被害を防止するため,金融庁職員が持参した封筒にキャッシュカードを入れて保管する必要がある旨うそを言い,さらに,金融庁職員になりすました被告人が,被害者をして,前記キャッシュカードを封筒に入れさせた上,被害者が目を離した隙に,同封筒を別の封筒とすり替えて同キャッシュカードを窃取するため,同日午後4時18分頃,被害者宅付近路上まで赴いたが,警察官の尾行に気付いて断念し,その目的を遂げなかった。
判示事項
いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例
裁判要旨
被害者に電話をかけキャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要でありこれから訪れる者が作業を行う旨信じさせ,被害者宅を訪れる被告人が封筒に割り印をするための印鑑を被害者に取りに行かせた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードを窃取するという犯行計画に基づいて,すり替えの隙を生じさせる前提となり,被告人が被害者宅を訪問し虚偽の指示等を行うことに直接つながるとともに,被害者に被告人の指示等に疑問を抱かせることなくすり替えの隙を生じさせる状況を作り出すようなうそが述べられ,被告人が被害者宅付近路上まで赴いたなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,被告人が被害者に対してキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をしていないとしても,当該うそが述べられ被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では,窃盗罪の実行の着手が既にあったと認められる。
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