事件番号令和1(行ウ)648
事件名所得税及び復興特別所得税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年10月12日
事案の概要本件は,原告らが,養母である亡C(以下「亡C」という。)から相続して取得した土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る所得を分離課税の長期譲渡所得の金額に計上して平成27年分の所得税及び復興特別所得税(以下「本件所得税等」という。)の確定申告をしたところ,江東西税務署長から,租税特別措置法39条1項(平成30年法律第7号による改正前のもの)の適用により取得費の額に加算される相続税額(以下「取得費加算額」という。)の計算に誤りがあるとして,原告Aにあっては平成30年5月29日付けで,原告Bにあっては同年6月12日付けで,それぞれ更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けた(ただし,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分は,いずれも令和元年7月5日付けでされた国税不服審判所長の裁決により一部取り消されており,以下,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分については,いずれも特に区別する必要がある場合を除き,上記裁決により一部取り消された後のものを指すものとする。また,本件各更正処分のうち,個別の原告に係る更正処分を指すときは「原告Aに対する更正処分」などといい,本件各各賦課決定処分のうち,個別の原告に係る賦課決定処分を指すときは「原告Aに対する賦課決定処分」などという。そして,本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各更正処分等」という。)ことから,本件各更正処分の一部及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項相続により取得した土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る譲渡所得につき,租税特別措置法39条1項の適用により取得費加算額を計算するに当たり,租税特別措置法施行令25条の16第1項2号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」を当該土地の相続税評価額に100分の90を乗じた金額としたことが適法であるとされた事例
裁判要旨租税特別措置法施行令25条の16第1項2号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」とは,相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額のうち譲渡をした相続財産に対応する部分をいうものであるところ,
借地権設定の対象とされた土地が相続の開始の時及び借地権設定契約の締結時において,借地権割合が90%の地域にあるものであったこと,当該土地の相続税評価額は貸家建付地として評価されたものであることなど判示の事情の下においては,
当該土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る譲渡所得の金額の計算に当たって,同号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」を貸家建付地としての当該土地の評価額に,借地権割合である90%を乗じた金額としたことは適法である。
事件番号令和1(行ウ)648
事件名所得税及び復興特別所得税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和3年10月12日
事案の概要
本件は,原告らが,養母である亡C(以下「亡C」という。)から相続して取得した土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る所得を分離課税の長期譲渡所得の金額に計上して平成27年分の所得税及び復興特別所得税(以下「本件所得税等」という。)の確定申告をしたところ,江東西税務署長から,租税特別措置法39条1項(平成30年法律第7号による改正前のもの)の適用により取得費の額に加算される相続税額(以下「取得費加算額」という。)の計算に誤りがあるとして,原告Aにあっては平成30年5月29日付けで,原告Bにあっては同年6月12日付けで,それぞれ更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けた(ただし,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分は,いずれも令和元年7月5日付けでされた国税不服審判所長の裁決により一部取り消されており,以下,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分については,いずれも特に区別する必要がある場合を除き,上記裁決により一部取り消された後のものを指すものとする。また,本件各更正処分のうち,個別の原告に係る更正処分を指すときは「原告Aに対する更正処分」などといい,本件各各賦課決定処分のうち,個別の原告に係る賦課決定処分を指すときは「原告Aに対する賦課決定処分」などという。そして,本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各更正処分等」という。)ことから,本件各更正処分の一部及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項
相続により取得した土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る譲渡所得につき,租税特別措置法39条1項の適用により取得費加算額を計算するに当たり,租税特別措置法施行令25条の16第1項2号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」を当該土地の相続税評価額に100分の90を乗じた金額としたことが適法であるとされた事例
裁判要旨
租税特別措置法施行令25条の16第1項2号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」とは,相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額のうち譲渡をした相続財産に対応する部分をいうものであるところ,
借地権設定の対象とされた土地が相続の開始の時及び借地権設定契約の締結時において,借地権割合が90%の地域にあるものであったこと,当該土地の相続税評価額は貸家建付地として評価されたものであることなど判示の事情の下においては,
当該土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る譲渡所得の金額の計算に当たって,同号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」を貸家建付地としての当該土地の評価額に,借地権割合である90%を乗じた金額としたことは適法である。
このエントリーをはてなブックマークに追加