事件番号令和2(わ)365
事件名保護責任者遺棄致死被告事件
裁判所さいたま地方裁判所 第1刑事部
裁判年月日令和4年2月24日
事案の概要被告人両名は夫婦であり,埼玉県北足立郡(住所省略)所在の被告人両名方において,長女であるC(以下「被害児」という。)と,その上の長男を養育していた。被告人Aは,親族から被害児が食べ過ぎではないかと指摘されたことで,心配になり,平成29年夏以降,茶碗を大人用から子供用に変更するなどして,被害児に与える食事を徐々に減らしていった。また,被害児が昼間お漏らしをすることが増えたため,被告人Aは,トイレトレーニングとして被害児の下半身を裸にしておくようになったが,被害児がお漏らしをした際には,被害児の体を叩いて叱責するなどしたほか,被害児の股間を直ぐに拭かず,そのまま放置したこともあった。被告人Bも,前記事情を把握しており,お漏らしをした被害児に対して,次第にあざが残るほどの暴行を加えるようになったほか,同年12月に入ると,被告人Aと共に,お漏らしをした被害児の股間を拭く際に,嫌がる被害児の脚を無理やり開いたり,伸ばしたりしてしまうこともあった。
(罪となるべき事実:訴因変更後のもの。なお,括弧内の記載は,本件訴因に内包されている筋断裂に関する保護責任者遺棄罪の前提となる事実である。)
被告人両名は,被害児(当時4歳3か月)の食欲が低下していき,被害児が重度の低栄養状態に陥っていた平成29年12月上旬頃には,被害児がほとんど食べられなくなっている状況を認識していた(なお,被害児の右長内転筋及び右恥骨筋の断裂並びに左腸腰筋上半部の部分断裂が生じ,同月中旬頃には,被害児の腰が曲がり,正常に直立歩行することもできない状態を認識していた。)
被告人両名は,被害児が前記状況にあるのを認識していたのであるから,被害児に対し,医師による診察等適切な医療措置を受けさせ,その生存に必要な保護をすべき責任があったにも関わらず,共謀の上,同月上旬頃から同月21日までの間,被害児に適切な医療措置を受けさせることなく,同月21日にも被告人Aがお漏らしをした被害児を下半身裸のままで放置するなどし,よって,同日午後2時46分頃から同日午後6時45分頃までの間に,被告人両名方において,被害児を脱水を伴う低栄養状態を基盤とした低体温症により死亡させた。
判示事項の要旨母親である被告人Aと父親である被告人B両名が,実子である被害児C(当時4歳)が重度の低栄養状態に陥ってほとんど食べられない状態等にあり,その生存のため医師による診療等適切な医療措置を必要とする状況(要保護状況)にあったにもかかわらず,共謀の上,その保護を与えずに同児を脱水を伴う重度の低栄養状態を基盤とした低体温症により死亡させた保護責任者遺棄致死の事案。被告人両名は,要保護状況にはなかったなどとして犯罪の成立を争ったが,裁判所は,被害児が要保護状況にあり,被告人らは被害児の生存のため必要な保護を与えることなく被害児を死亡させたとして,被告人らをそれぞれ懲役7年に処した。
事件番号令和2(わ)365
事件名保護責任者遺棄致死被告事件
裁判所さいたま地方裁判所 第1刑事部
裁判年月日令和4年2月24日
事案の概要
被告人両名は夫婦であり,埼玉県北足立郡(住所省略)所在の被告人両名方において,長女であるC(以下「被害児」という。)と,その上の長男を養育していた。被告人Aは,親族から被害児が食べ過ぎではないかと指摘されたことで,心配になり,平成29年夏以降,茶碗を大人用から子供用に変更するなどして,被害児に与える食事を徐々に減らしていった。また,被害児が昼間お漏らしをすることが増えたため,被告人Aは,トイレトレーニングとして被害児の下半身を裸にしておくようになったが,被害児がお漏らしをした際には,被害児の体を叩いて叱責するなどしたほか,被害児の股間を直ぐに拭かず,そのまま放置したこともあった。被告人Bも,前記事情を把握しており,お漏らしをした被害児に対して,次第にあざが残るほどの暴行を加えるようになったほか,同年12月に入ると,被告人Aと共に,お漏らしをした被害児の股間を拭く際に,嫌がる被害児の脚を無理やり開いたり,伸ばしたりしてしまうこともあった。
(罪となるべき事実:訴因変更後のもの。なお,括弧内の記載は,本件訴因に内包されている筋断裂に関する保護責任者遺棄罪の前提となる事実である。)
被告人両名は,被害児(当時4歳3か月)の食欲が低下していき,被害児が重度の低栄養状態に陥っていた平成29年12月上旬頃には,被害児がほとんど食べられなくなっている状況を認識していた(なお,被害児の右長内転筋及び右恥骨筋の断裂並びに左腸腰筋上半部の部分断裂が生じ,同月中旬頃には,被害児の腰が曲がり,正常に直立歩行することもできない状態を認識していた。)
被告人両名は,被害児が前記状況にあるのを認識していたのであるから,被害児に対し,医師による診察等適切な医療措置を受けさせ,その生存に必要な保護をすべき責任があったにも関わらず,共謀の上,同月上旬頃から同月21日までの間,被害児に適切な医療措置を受けさせることなく,同月21日にも被告人Aがお漏らしをした被害児を下半身裸のままで放置するなどし,よって,同日午後2時46分頃から同日午後6時45分頃までの間に,被告人両名方において,被害児を脱水を伴う低栄養状態を基盤とした低体温症により死亡させた。
判示事項の要旨
母親である被告人Aと父親である被告人B両名が,実子である被害児C(当時4歳)が重度の低栄養状態に陥ってほとんど食べられない状態等にあり,その生存のため医師による診療等適切な医療措置を必要とする状況(要保護状況)にあったにもかかわらず,共謀の上,その保護を与えずに同児を脱水を伴う重度の低栄養状態を基盤とした低体温症により死亡させた保護責任者遺棄致死の事案。被告人両名は,要保護状況にはなかったなどとして犯罪の成立を争ったが,裁判所は,被害児が要保護状況にあり,被告人らは被害児の生存のため必要な保護を与えることなく被害児を死亡させたとして,被告人らをそれぞれ懲役7年に処した。
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