事件番号令和2(行ウ)92
事件名バックフィット命令に伴う使用停止命令義務付け請求事件
裁判所名古屋地方裁判所 民事第9部
裁判年月日令和4年3月10日
事案の概要本件は,原子力規制委員会が,令和元年6月19日,参加人の設置,運転する高浜原子力発電所3号機及び4号機(以下「本件各原子炉」という。)について,その運用期間中に想定し得る大山の噴火の噴出規模を増大する見直し(5k㎥から11k㎥程度)を行い,参加人に対し,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「炉規法」という。)43条の3の23第1項の規定に基づき,本件各原子炉及びその附属施設(以下「本件各原子炉施設」という。)の位置,構造及び設備が発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するよう同法43条の3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命ずるバックフィット命令(以下「本件バックフィット命令」という。)を発出したところ,本件各原子炉施設の敷地から一定の距離に居住する原告らが,上記の噴出規模の見直しのような従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきであり,また,上記の見直しがされた噴出規模を前提とすれば,本件各原子炉施設は安全性が欠如しているから,原子力規制委員会(処分行政庁)は,参加人に対し,同法43条の3の8第1項に基づく設置変更許可処分,同法43条の3の9第1項に基づく設計工事計画認可処分,同法43条の3の24第1項に基づく保安規定変更認可処分及び同法43条の3の11第3項に基づく使用前事業者検査がされるまでの間,同法43条の3の23第1項に基づき,本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきである(以下,これを「本件各処分」という。)として,原子力規制委員会の所属する被告を相手方として,行政事件訴訟法3条6項1号所定の非申請型義務付けの訴えとして,本件各処分の義務付けを求める事案である。
判示事項の要旨原子力規制委員会が,高浜原子力発電所3号機及び4号機(本件各原子炉)について,大山の噴火の噴出規模を増大する見直しを行い,本件各原子炉及びその附属施設(本件各原子炉施設)の設置変更許可に係る申請をすることを命ずるバックフィット命令を発出したことにつき,本件各原子炉施設の敷地から一定の距離(半径約3kmから約140kmまで)に居住する原告らが,従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきであるなどとして,行政事件訴訟法3条6項1号所定の非申請型義務付けの訴えとして,使用前事業者検査がされるまでの間,本件各原子炉施設の使用停止を命ずる処分の義務付けを求める事案において,原告らの原告適格及び同法37条の2第1項の「重大な損害を生ずるおそれ」が認められた上,バックフィット命令の発出の要否並びにその時期及び内容等については,各専門分野の学識経験者等を擁する原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に基づく裁量判断に委ねられるものであり,発電用原子炉施設の使用停止を命ずることの義務付けの訴えに係る請求が認められるのは,使用停止を命ずべきであることが法令の規定から明らかであると認められ,又は使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められることを必要とすると解するのが相当であるとし,本件口頭弁論終結時において,原子力規制委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認めることはできないとされた事例。
事件番号令和2(行ウ)92
事件名バックフィット命令に伴う使用停止命令義務付け請求事件
裁判所名古屋地方裁判所 民事第9部
裁判年月日令和4年3月10日
事案の概要
本件は,原子力規制委員会が,令和元年6月19日,参加人の設置,運転する高浜原子力発電所3号機及び4号機(以下「本件各原子炉」という。)について,その運用期間中に想定し得る大山の噴火の噴出規模を増大する見直し(5k㎥から11k㎥程度)を行い,参加人に対し,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「炉規法」という。)43条の3の23第1項の規定に基づき,本件各原子炉及びその附属施設(以下「本件各原子炉施設」という。)の位置,構造及び設備が発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するよう同法43条の3の8第1項の設置変更許可に係る申請をすることを命ずるバックフィット命令(以下「本件バックフィット命令」という。)を発出したところ,本件各原子炉施設の敷地から一定の距離に居住する原告らが,上記の噴出規模の見直しのような従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきであり,また,上記の見直しがされた噴出規模を前提とすれば,本件各原子炉施設は安全性が欠如しているから,原子力規制委員会(処分行政庁)は,参加人に対し,同法43条の3の8第1項に基づく設置変更許可処分,同法43条の3の9第1項に基づく設計工事計画認可処分,同法43条の3の24第1項に基づく保安規定変更認可処分及び同法43条の3の11第3項に基づく使用前事業者検査がされるまでの間,同法43条の3の23第1項に基づき,本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきである(以下,これを「本件各処分」という。)として,原子力規制委員会の所属する被告を相手方として,行政事件訴訟法3条6項1号所定の非申請型義務付けの訴えとして,本件各処分の義務付けを求める事案である。
判示事項の要旨
原子力規制委員会が,高浜原子力発電所3号機及び4号機(本件各原子炉)について,大山の噴火の噴出規模を増大する見直しを行い,本件各原子炉及びその附属施設(本件各原子炉施設)の設置変更許可に係る申請をすることを命ずるバックフィット命令を発出したことにつき,本件各原子炉施設の敷地から一定の距離(半径約3kmから約140kmまで)に居住する原告らが,従来の想定を大きく上回る規模の自然災害が想定される場合には,原則として本件各原子炉施設の使用停止を命ずべきであるなどとして,行政事件訴訟法3条6項1号所定の非申請型義務付けの訴えとして,使用前事業者検査がされるまでの間,本件各原子炉施設の使用停止を命ずる処分の義務付けを求める事案において,原告らの原告適格及び同法37条の2第1項の「重大な損害を生ずるおそれ」が認められた上,バックフィット命令の発出の要否並びにその時期及び内容等については,各専門分野の学識経験者等を擁する原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に基づく裁量判断に委ねられるものであり,発電用原子炉施設の使用停止を命ずることの義務付けの訴えに係る請求が認められるのは,使用停止を命ずべきであることが法令の規定から明らかであると認められ,又は使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められることを必要とすると解するのが相当であるとし,本件口頭弁論終結時において,原子力規制委員会が本件各原子炉施設の使用停止を命じないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認めることはできないとされた事例。
このエントリーをはてなブックマークに追加