事件番号平成31(行ウ)11
事件名行政文書非公開決定処分取消請求事件
裁判所名古屋地方裁判所 民事第9部
裁判年月日令和4年3月30日
事案の概要本件は,原告が,名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号。以下「本件条例」という。)に基づき,名古屋市長及び被告の職員(以下,併せて「被告職員等」という。)が名古屋城天守閣木造復元事業(以下「本件事業」という。)に関連して文化庁を訪問した際の資料について,3回にわたり,行政文書の公開請求(3観名保第111号,3観名保第112号及び3観名保第113号。以下,これらを併せて「本件各公開請求」という。)をしたところ,実施機関である名古屋市長(処分行政庁)から,令和3年9月16日付けで上記資料の一部を公開する旨の決定(以下,「3観名保第111号」に係る決定を「本件処分1」,「3観名保第112号」に係る決定を「本件処分2」,「3観名保第113号」に係る決定を「本件処分3」といい,これらの決定を併せて「本件各処分」という。)を受けたため,被告を相手方として,本件各処分のうち非公開とされた部分の一部の取消しを求めるとともに,当該部分の公開決定の義務付けを求める事案である。
判示事項の要旨【判示事項】
 名古屋城天守閣木造復元事業に関連して名古屋市長及び名古屋市職員が文化庁を訪問した際の資料に係る文書のうち、①同訪問の際に行われた名古屋市長の発言部分の一部、②名古屋市職員と文化庁職員との意見交換における文化庁職員の発言部分の一部、③同事業の設計等を行う会社が作成した「名古屋城天守閣整備事業基本計画書(概要編・資料編・図面編)」の一部、及び④被告が作成した「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題する書面の一部について、名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号)の非公開情報に当たらないとした事例
【裁判要旨】
1 文化庁を訪問した際の名古屋市長の発言は、本件処分の3年以上前にされた発言であり、事業のスケジュール等が大幅に変更されていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
2 名古屋市職員と文化庁職員との意見交換における文化庁職員の発言のうち、「本丸御殿の工事について」の経過報告に関する部分は、発言の時点で本丸御殿の工事が既に終了していたこと等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
3(1) 本件事業の設計等を行う会社が作成した「名古屋城天守閣整備事業基本計画書(概要編・資料編・図面編)」の一部は、同じ情報が記者クラブに提供された資料に記載され、別件の情報公開請求において同資料が公開されるなどしていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(法人等利益侵害情報、公共安全情報)には該当しない。
(2) 上記基本計画書のうち、木造天守閣の建築費及び設計業務費の概算工事費が記載された部分は、飽くまでも概算工事費であって確定したものではなく、事業の工法やスケジュールが変更され、市民向けの説明会において総事業費の上限が説明されていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
4 被告が作成した「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題する書面は、本件処分の3年以上前の検討結果が記載され、その後、変更を余儀なくされていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
事件番号平成31(行ウ)11
事件名行政文書非公開決定処分取消請求事件
裁判所名古屋地方裁判所 民事第9部
裁判年月日令和4年3月30日
事案の概要
本件は,原告が,名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号。以下「本件条例」という。)に基づき,名古屋市長及び被告の職員(以下,併せて「被告職員等」という。)が名古屋城天守閣木造復元事業(以下「本件事業」という。)に関連して文化庁を訪問した際の資料について,3回にわたり,行政文書の公開請求(3観名保第111号,3観名保第112号及び3観名保第113号。以下,これらを併せて「本件各公開請求」という。)をしたところ,実施機関である名古屋市長(処分行政庁)から,令和3年9月16日付けで上記資料の一部を公開する旨の決定(以下,「3観名保第111号」に係る決定を「本件処分1」,「3観名保第112号」に係る決定を「本件処分2」,「3観名保第113号」に係る決定を「本件処分3」といい,これらの決定を併せて「本件各処分」という。)を受けたため,被告を相手方として,本件各処分のうち非公開とされた部分の一部の取消しを求めるとともに,当該部分の公開決定の義務付けを求める事案である。
判示事項の要旨
【判示事項】
 名古屋城天守閣木造復元事業に関連して名古屋市長及び名古屋市職員が文化庁を訪問した際の資料に係る文書のうち、①同訪問の際に行われた名古屋市長の発言部分の一部、②名古屋市職員と文化庁職員との意見交換における文化庁職員の発言部分の一部、③同事業の設計等を行う会社が作成した「名古屋城天守閣整備事業基本計画書(概要編・資料編・図面編)」の一部、及び④被告が作成した「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題する書面の一部について、名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号)の非公開情報に当たらないとした事例
【裁判要旨】
1 文化庁を訪問した際の名古屋市長の発言は、本件処分の3年以上前にされた発言であり、事業のスケジュール等が大幅に変更されていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
2 名古屋市職員と文化庁職員との意見交換における文化庁職員の発言のうち、「本丸御殿の工事について」の経過報告に関する部分は、発言の時点で本丸御殿の工事が既に終了していたこと等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
3(1) 本件事業の設計等を行う会社が作成した「名古屋城天守閣整備事業基本計画書(概要編・資料編・図面編)」の一部は、同じ情報が記者クラブに提供された資料に記載され、別件の情報公開請求において同資料が公開されるなどしていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(法人等利益侵害情報、公共安全情報)には該当しない。
(2) 上記基本計画書のうち、木造天守閣の建築費及び設計業務費の概算工事費が記載された部分は、飽くまでも概算工事費であって確定したものではなく、事業の工法やスケジュールが変更され、市民向けの説明会において総事業費の上限が説明されていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
4 被告が作成した「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題する書面は、本件処分の3年以上前の検討結果が記載され、その後、変更を余儀なくされていること等の判示の事情の下においては、名古屋市情報公開条例の非公開情報(意思形成過程情報、事務支障情報)には該当しない。
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