事件番号 | 平成29(ネ)204 |
---|---|
事件名 | 損害賠償請求控訴事件 |
裁判所 | 札幌高等裁判所 第2民事部 |
裁判年月日 | 令和4年5月30日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 札幌地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成23(ワ)1238 |
原審結果 | その他 |
事案の概要 | 第1 控訴人らは、主として北海道内で建物の建築、改修、解体の現場において建築作業に従事し、その際に石綿粉じんに曝露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿粉じんに曝露したことによって生ずる疾患(以下「石綿関連疾患」という。)に罹患したと主張する者又はその相続人である(以下、石綿粉じんに実際に曝露し、石綿関連疾患に罹患したと主張する者を「被災者」といい、被災者らを併せて「本件被災者ら」ということがある。)。 被控訴人らは,建築作業に用いられる建材(以下「建材」という。)を製造販売していた会社ないしその権利義務を承継した者である。 本件は、控訴人らが、被控訴人らに対し、被控訴人らが、石綿を含有する建材(以下「石綿含有建材」という。)から生ずる粉じんに曝露すると石綿関連疾患に罹患する危険があること等を表示することなく、石綿含有建材を製造販売したことにより、本件被災者らが石綿関連疾患に罹患したなどと主張して、被控訴人らに対し、不法行為(民法719条1項後段の類推適用)に基づき、連帯して、被災者1人当たり慰謝料3000万円及び弁護士費用300万円の合計3300万円(ただし、被災者A(石綿関連疾患について、被控訴人ニチアスから支払を受けている。)については、慰謝料1500万円及び弁護士費用150万円の合計1650万円)の損害賠償及びそれぞれこれに対する各被災者の石綿関連疾患の各診療開始日ないしその後の日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である(なお、控訴人らは、原審において、被災者1人当たり慰謝料3500万円及び弁護士費用350万円の合計3850万円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求していたが、当審において、上記のとおり請求を減縮した。)。 また、控訴人らは、本件の被控訴人らに対する訴えと共に、国に対し、本件被災者らが石綿含有建材から生ずる粉じんに曝露することを防止するために規制権限を行使すべきであったのにこれを怠ったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人らと連帯して、同額の損害賠償を求める訴えを併せて提起していた。 第2 控訴人らは、原審において、被控訴人らに対し、民法719条1項後段の類推適用に基づく請求に加え、同項前段や同項後段の直接適用を根拠とする請求や製造物責任法3条1項に基づく請求をしていたが、原審は、控訴人らの被控訴人らに対する請求をいずれも棄却した。これに対し、控訴人らがこれを不服として控訴した。 なお、控訴人らの国に対する訴えについて、原審は、控訴人らの請求を一部認容したところ、国及び控訴人らの一部がいずれも敗訴部分を不服として控訴したが、当審において、控訴人らと国との間で和解に向けた協議を行うことになり、本件から分離された。 第3 控訴人らは、当審において、次のとおり、被控訴人らに対する請求の内容等を整理した。 控訴人らは、本件で主張する石綿含有建材を、各被災者の職種や稼働時期等からみて、各被災者の下に到達した相当程度の可能性のある建材に絞り込み、各被災者が石綿関連疾患に罹患したのは主として当該建材が原因であるとして(以下、この建材を「主要原因建材」という。)、主要原因建材を製造販売した被控訴人らのみを各被災者との関係で請求の相手方とし、その他の被控訴人らに対する訴えを取り下げるとともに、請求の内容としては、民法719条1項後段の類推適用により、第1順位として、各被災者との関係で請求の相手方とされた被控訴人らが各被災者に生じた損害の全部を連帯して賠償するよう求め、第2順位及び第3順位として、上記損害のうち少なくとも一部を連帯して賠償するよう求めるに至った。 また、控訴人らは、前記の原審段階における民法719条1項前段や同項後段の直接適用を根拠とする主張を撤回し、製造物責任法3条1項に基づく請求の訴えを取り下げた。 |
事件番号 | 平成29(ネ)204 |
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事件名 | 損害賠償請求控訴事件 |
裁判所 | 札幌高等裁判所 第2民事部 |
裁判年月日 | 令和4年5月30日 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 札幌地方裁判所 |
原審事件番号 | 平成23(ワ)1238 |
原審結果 | その他 |
事案の概要 |
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第1 控訴人らは、主として北海道内で建物の建築、改修、解体の現場において建築作業に従事し、その際に石綿粉じんに曝露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿粉じんに曝露したことによって生ずる疾患(以下「石綿関連疾患」という。)に罹患したと主張する者又はその相続人である(以下、石綿粉じんに実際に曝露し、石綿関連疾患に罹患したと主張する者を「被災者」といい、被災者らを併せて「本件被災者ら」ということがある。)。 被控訴人らは,建築作業に用いられる建材(以下「建材」という。)を製造販売していた会社ないしその権利義務を承継した者である。 本件は、控訴人らが、被控訴人らに対し、被控訴人らが、石綿を含有する建材(以下「石綿含有建材」という。)から生ずる粉じんに曝露すると石綿関連疾患に罹患する危険があること等を表示することなく、石綿含有建材を製造販売したことにより、本件被災者らが石綿関連疾患に罹患したなどと主張して、被控訴人らに対し、不法行為(民法719条1項後段の類推適用)に基づき、連帯して、被災者1人当たり慰謝料3000万円及び弁護士費用300万円の合計3300万円(ただし、被災者A(石綿関連疾患について、被控訴人ニチアスから支払を受けている。)については、慰謝料1500万円及び弁護士費用150万円の合計1650万円)の損害賠償及びそれぞれこれに対する各被災者の石綿関連疾患の各診療開始日ないしその後の日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である(なお、控訴人らは、原審において、被災者1人当たり慰謝料3500万円及び弁護士費用350万円の合計3850万円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求していたが、当審において、上記のとおり請求を減縮した。)。 また、控訴人らは、本件の被控訴人らに対する訴えと共に、国に対し、本件被災者らが石綿含有建材から生ずる粉じんに曝露することを防止するために規制権限を行使すべきであったのにこれを怠ったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人らと連帯して、同額の損害賠償を求める訴えを併せて提起していた。 第2 控訴人らは、原審において、被控訴人らに対し、民法719条1項後段の類推適用に基づく請求に加え、同項前段や同項後段の直接適用を根拠とする請求や製造物責任法3条1項に基づく請求をしていたが、原審は、控訴人らの被控訴人らに対する請求をいずれも棄却した。これに対し、控訴人らがこれを不服として控訴した。 なお、控訴人らの国に対する訴えについて、原審は、控訴人らの請求を一部認容したところ、国及び控訴人らの一部がいずれも敗訴部分を不服として控訴したが、当審において、控訴人らと国との間で和解に向けた協議を行うことになり、本件から分離された。 第3 控訴人らは、当審において、次のとおり、被控訴人らに対する請求の内容等を整理した。 控訴人らは、本件で主張する石綿含有建材を、各被災者の職種や稼働時期等からみて、各被災者の下に到達した相当程度の可能性のある建材に絞り込み、各被災者が石綿関連疾患に罹患したのは主として当該建材が原因であるとして(以下、この建材を「主要原因建材」という。)、主要原因建材を製造販売した被控訴人らのみを各被災者との関係で請求の相手方とし、その他の被控訴人らに対する訴えを取り下げるとともに、請求の内容としては、民法719条1項後段の類推適用により、第1順位として、各被災者との関係で請求の相手方とされた被控訴人らが各被災者に生じた損害の全部を連帯して賠償するよう求め、第2順位及び第3順位として、上記損害のうち少なくとも一部を連帯して賠償するよう求めるに至った。 また、控訴人らは、前記の原審段階における民法719条1項前段や同項後段の直接適用を根拠とする主張を撤回し、製造物責任法3条1項に基づく請求の訴えを取り下げた。 |