事件番号令和3(く)14
事件名再審開始決定に対する即時抗告申立事件
裁判所東京高等裁判所 第2刑事部
裁判年月日令和5年3月13日
結果棄却
原審裁判所静岡地方裁判所
原審事件番号平成20(た)1
事案の概要1 Aは、昭和40年頃から、当時の静岡県清水市(現在は合併により静岡市)内のみそ製造を営むD商店の従業員として、同店のみそ製造工場(以下「本件工場」という。)2階の従業員寮で居住していた。昭和41年6月30日午前1時50分頃、同店専務取締役であった男性の居宅方で、火災が発生して家屋がほぼ全焼し、鎮火後、前記男性、その妻及び両名間の2名の子の合計4名が遺体で発見された。
2 Aは、昭和41年8月18日、前記事件で逮捕され、同年9月9日、住居侵入、強盗殺人、放火被告事件で静岡地方裁判所に起訴された。昭和41年11月15日、第1回公判期日が開かれ、Aは、本件犯行を全面的に否認し、無罪を主張し、検察官は、冒頭陳述において、Aがパジャマを着て本件犯行に及んだ旨主張した。
その後、審理が続いていたが、昭和42年8月31日、本件工場において、D商店の従業員がみその仕込まれていた1号タンク(以下「1号タンク」という。)内からみその搬出作業を行っていた際、1号タンク底部から約3.5センチメートルのみその中から麻袋を発見したところ、同麻袋の中には、いずれも広範囲にわたり血が付着していた衣類5点(白ステテコ、白半袖シャツ、ネズミ色スポーツシャツ、鉄紺色ズボン、緑色パンツ)(以下「5点の衣類」という。)が入っていた。なお、1号タンクは、縦約2.29メートル、横約2.03メートル、深さ約1.65メートルであり、昭和41年6月30日の本件事件当時、赤みそのタンクとして使用されており、その残量は、出荷により相当程度減少していたとはいえ、同年7月20日に4トン以上、さらに同年8月3日に約4トンの合計約8トンの赤みそ原材料等が仕込まれていた。
検察官は、第17回公判期日(昭和42年9月13日)において、Aは、5点の衣類を着用して本件犯行に及んだ旨の主張に変更した。
3 昭和43年9月11日、静岡地方裁判所は、Aが本件の犯人であると認定して、Aを死刑に処する旨の判決を言い渡した。Aは、これを不服として控訴したが、昭和51年5月18日東京高等裁判所は控訴を棄却し、昭和55年11月19日最高裁判所は上告を棄却し、その後判決訂正の申立ても棄却し、同年12月12日、第1審の判決が確定した(以下、同判決を「確定判決」といい、その控訴審判決を「確定控訴審判決」という。)
4 Aは、昭和56年4月20日、静岡地方裁判所に対して、再審請求(第1次)を行ったものの、平成6年8月8日同再審請求は棄却され、その即時抗告及び特別抗告のいずれについても棄却された。
5 その後、Aの実姉である請求人Bは、刑訴法439条1項4号に該当する者として、平成20年4月25日、静岡地方裁判所に本件再審請求(第2次)を行い(なお、請求人Bは、後にAの保佐人に選任され、刑訴法439条1項3号に該当するに至り、さらに、Cが、令和4年4月15日にAの保佐人に追加して選任され、Bと共に本件再審請求の請求人となった。)、平成26年3月27日静岡地方裁判所は、再審を開始する決定(以下「原決定」といい、その審理を「原審」という。)をし、併せて、Aに対する死刑及び拘置の執行を停止する旨を決定した。これに対し、検察官が即時抗告を申し立てたところ、平成30年6月11日、東京高等裁判所は、原決定を取り消し、本件再審請求を棄却する旨の決定(本決定では、これを「前高裁決定」といい、その審理を「前抗告審」という。)をし、これに対して、弁護人が特別抗告を申し立てたところ、令和2年12月22日、最高裁判所は、前高裁決定を取り消し、本件を東京高等裁判所に差し戻す旨の決定をした(以下「最高裁決定」という。)。本件は、最高裁決定によって差し戻された後の即時抗告審である。
事件番号令和3(く)14
事件名再審開始決定に対する即時抗告申立事件
裁判所東京高等裁判所 第2刑事部
裁判年月日令和5年3月13日
結果棄却
原審裁判所静岡地方裁判所
原審事件番号平成20(た)1
事案の概要
1 Aは、昭和40年頃から、当時の静岡県清水市(現在は合併により静岡市)内のみそ製造を営むD商店の従業員として、同店のみそ製造工場(以下「本件工場」という。)2階の従業員寮で居住していた。昭和41年6月30日午前1時50分頃、同店専務取締役であった男性の居宅方で、火災が発生して家屋がほぼ全焼し、鎮火後、前記男性、その妻及び両名間の2名の子の合計4名が遺体で発見された。
2 Aは、昭和41年8月18日、前記事件で逮捕され、同年9月9日、住居侵入、強盗殺人、放火被告事件で静岡地方裁判所に起訴された。昭和41年11月15日、第1回公判期日が開かれ、Aは、本件犯行を全面的に否認し、無罪を主張し、検察官は、冒頭陳述において、Aがパジャマを着て本件犯行に及んだ旨主張した。
その後、審理が続いていたが、昭和42年8月31日、本件工場において、D商店の従業員がみその仕込まれていた1号タンク(以下「1号タンク」という。)内からみその搬出作業を行っていた際、1号タンク底部から約3.5センチメートルのみその中から麻袋を発見したところ、同麻袋の中には、いずれも広範囲にわたり血が付着していた衣類5点(白ステテコ、白半袖シャツ、ネズミ色スポーツシャツ、鉄紺色ズボン、緑色パンツ)(以下「5点の衣類」という。)が入っていた。なお、1号タンクは、縦約2.29メートル、横約2.03メートル、深さ約1.65メートルであり、昭和41年6月30日の本件事件当時、赤みそのタンクとして使用されており、その残量は、出荷により相当程度減少していたとはいえ、同年7月20日に4トン以上、さらに同年8月3日に約4トンの合計約8トンの赤みそ原材料等が仕込まれていた。
検察官は、第17回公判期日(昭和42年9月13日)において、Aは、5点の衣類を着用して本件犯行に及んだ旨の主張に変更した。
3 昭和43年9月11日、静岡地方裁判所は、Aが本件の犯人であると認定して、Aを死刑に処する旨の判決を言い渡した。Aは、これを不服として控訴したが、昭和51年5月18日東京高等裁判所は控訴を棄却し、昭和55年11月19日最高裁判所は上告を棄却し、その後判決訂正の申立ても棄却し、同年12月12日、第1審の判決が確定した(以下、同判決を「確定判決」といい、その控訴審判決を「確定控訴審判決」という。)
4 Aは、昭和56年4月20日、静岡地方裁判所に対して、再審請求(第1次)を行ったものの、平成6年8月8日同再審請求は棄却され、その即時抗告及び特別抗告のいずれについても棄却された。
5 その後、Aの実姉である請求人Bは、刑訴法439条1項4号に該当する者として、平成20年4月25日、静岡地方裁判所に本件再審請求(第2次)を行い(なお、請求人Bは、後にAの保佐人に選任され、刑訴法439条1項3号に該当するに至り、さらに、Cが、令和4年4月15日にAの保佐人に追加して選任され、Bと共に本件再審請求の請求人となった。)、平成26年3月27日静岡地方裁判所は、再審を開始する決定(以下「原決定」といい、その審理を「原審」という。)をし、併せて、Aに対する死刑及び拘置の執行を停止する旨を決定した。これに対し、検察官が即時抗告を申し立てたところ、平成30年6月11日、東京高等裁判所は、原決定を取り消し、本件再審請求を棄却する旨の決定(本決定では、これを「前高裁決定」といい、その審理を「前抗告審」という。)をし、これに対して、弁護人が特別抗告を申し立てたところ、令和2年12月22日、最高裁判所は、前高裁決定を取り消し、本件を東京高等裁判所に差し戻す旨の決定をした(以下「最高裁決定」という。)。本件は、最高裁決定によって差し戻された後の即時抗告審である。
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