事件番号令和2(ワ)11652
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年4月20日
事案の概要原告X1は、強度近視のため視力補正用眼鏡(以下「本件眼鏡A」という。)を使用していたところ、刑事事件の被告人となり未決拘禁者として大阪拘置所に収容された際、大阪拘置所長からレンズの着色濃度が基準を満たさないなどとして本件眼鏡Aの使用を許可しない措置(以下「本件不許可措置A」という。)を受けた。その後、原告X1は、刑事事件の国選弁護人であった原告X2から、別の視力補正用眼鏡(以下「本件眼鏡B」という。)の差入れを受けてこれを使用していたが、刑事事件の有罪判決の確定により大阪刑務所に移送された際、大阪刑務所長からレンズが無色透明ではないなどとして本件眼鏡Bの使用を許可しない措置(以下「本件不許可措置B」という。)を受けた。
本件は、原告X1が、本件不許可措置A及びBは国家賠償法上違法であるなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、本件不許可措置Aにつき慰謝料等220万円及びその遅延損害金の、本件不許可措置Bにつき慰謝料等110万円及びその遅延損害金の支払を求めるとともに、原告X2が、本件不許可措置Aにより弁護人の固有権である接見交通権が違法に侵害されたと主張して、被告に対し、同項に基づき、慰謝料等160万1493円及びその遅延損害金の支払を求める事案である(なお、上記各遅延損害金の起算点及び利率は上記第1に記載のとおり。)
判示事項の要旨○判示事項
1 拘置所長が未決拘禁者に対してした、着色レンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置が、弁護人との接見の際にその使用を許さない点において、国家賠償法上違法とされた事例
2 刑務所長が懲役受刑者に対してした、無色透明でないレンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置が、国家賠償法上違法とされた事例
〇裁判要旨
1 拘置所長が未決拘禁者に対してした、着色レンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置は、弁護人との接見を行う部屋において未決拘禁者が視力補正用眼鏡等により視力を矯正しなければ証拠書類等を閲覧することが困難な者であることなど判示の事情の下では、弁護人との接見の際にその使用を許さない点において、未決拘禁者及び弁護人の接見交通権を侵害するものとして、国家賠償法上違法である。
2 刑務所長が懲役受刑者に対してした、無色透明でないレンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置は、懲役受刑者が裸眼視力では日常生活に著しい制限を受けることが想定される者であること、その着色濃度は無色透明のものと大差ないことなど判示の事情の下では、懲役受刑者の人格権(自己の視力補正用眼鏡等を使用すること等により適切に視力を矯正して日常生活を送る権利)を侵害するものとして、国家賠償法上違法である。
事件番号令和2(ワ)11652
事件名損害賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年4月20日
事案の概要
原告X1は、強度近視のため視力補正用眼鏡(以下「本件眼鏡A」という。)を使用していたところ、刑事事件の被告人となり未決拘禁者として大阪拘置所に収容された際、大阪拘置所長からレンズの着色濃度が基準を満たさないなどとして本件眼鏡Aの使用を許可しない措置(以下「本件不許可措置A」という。)を受けた。その後、原告X1は、刑事事件の国選弁護人であった原告X2から、別の視力補正用眼鏡(以下「本件眼鏡B」という。)の差入れを受けてこれを使用していたが、刑事事件の有罪判決の確定により大阪刑務所に移送された際、大阪刑務所長からレンズが無色透明ではないなどとして本件眼鏡Bの使用を許可しない措置(以下「本件不許可措置B」という。)を受けた。
本件は、原告X1が、本件不許可措置A及びBは国家賠償法上違法であるなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、本件不許可措置Aにつき慰謝料等220万円及びその遅延損害金の、本件不許可措置Bにつき慰謝料等110万円及びその遅延損害金の支払を求めるとともに、原告X2が、本件不許可措置Aにより弁護人の固有権である接見交通権が違法に侵害されたと主張して、被告に対し、同項に基づき、慰謝料等160万1493円及びその遅延損害金の支払を求める事案である(なお、上記各遅延損害金の起算点及び利率は上記第1に記載のとおり。)
判示事項の要旨
○判示事項
1 拘置所長が未決拘禁者に対してした、着色レンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置が、弁護人との接見の際にその使用を許さない点において、国家賠償法上違法とされた事例
2 刑務所長が懲役受刑者に対してした、無色透明でないレンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置が、国家賠償法上違法とされた事例
〇裁判要旨
1 拘置所長が未決拘禁者に対してした、着色レンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置は、弁護人との接見を行う部屋において未決拘禁者が視力補正用眼鏡等により視力を矯正しなければ証拠書類等を閲覧することが困難な者であることなど判示の事情の下では、弁護人との接見の際にその使用を許さない点において、未決拘禁者及び弁護人の接見交通権を侵害するものとして、国家賠償法上違法である。
2 刑務所長が懲役受刑者に対してした、無色透明でないレンズの視力補正用眼鏡の使用を許さない措置は、懲役受刑者が裸眼視力では日常生活に著しい制限を受けることが想定される者であること、その着色濃度は無色透明のものと大差ないことなど判示の事情の下では、懲役受刑者の人格権(自己の視力補正用眼鏡等を使用すること等により適切に視力を矯正して日常生活を送る権利)を侵害するものとして、国家賠償法上違法である。
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