事件番号令和3(ワ)1175
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和5年9月11日
事案の概要本件は、被告道の職員であった原告が、在職中、同性パートナーであるAが北海道職員の給与に関する条例(以下「給与条例」という。)9条2項1号の「届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として同号の「配偶者」に該当し、また、地方公務員等共済組合法(以下「共済組合法」という。)2条4項の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として同条1項2号イの「配偶者」に該当するとして(以下、給与条例9条2項1号の規定及び共済組合法2条4項の規定を併せて「本件各規定」という。)、被告道に対し、Aを扶養親族とする扶養手当に係る届出及び寒冷地手当に係る世帯等の区分の変更の届出を行うとともに、被告共済組合に対し、Aを被扶養者とする届出を行ったが、被告道の職員の任命権者である北海道知事及び被告道の職員である組合員の組合員被扶養者証に係る事項を処理する被告共済組合の北海道支部長が、Aが原告と同性であることを理由に、上記各「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とはいえず、上記各「配偶者」に該当しないとして、上記各届出に係る扶養親族又は被扶養者の認定を不可としたことはいずれも違法であると主張して、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、被告道に対して、損害金合計233万2400円及びこれに対する不法行為の日である平成30年11月14日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、被告共済組合に対して、損害金合計234万7760円及びこれに対する上記同旨の遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨1 本件は、被告北海道の職員であった原告が、在職中、北海道職員の給与に関する条例及び地方公務員等共済組合法において、配偶者には婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む旨の規定(以下「本件各規定」という。)があり、原告の同性パートナーがこれに該当するとして、被告北海道に対し、同性パートナーを扶養親族とする扶養手当に係る届出及び寒冷地手当の届出を行うともに、被告地方職員共済組合に対し、同性パートナーを被扶養者とする届出をしたが、いずれの届出も認定不可とされたことに関し、同認定不可はいずれも違法であると主張し、被告らに対し、国家賠償法に基づき、慰謝料等及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
2 裁判所は、本件各規定は、現行民法上の婚姻関係を前提とする定めとなっており、婚姻の届出をすることが想定されていない同性間の関係は本件各規定に含まれないと解することは現行民法の定める婚姻法秩序に整合する一般的な解釈ということができ、上記法令に基づく扶養手当等の給付保障が公的財源を基盤としていることを考慮すれば、原告の上記各届出を認定不可としたことについて、国家賠償法上の違法及び過失があるとはいえないとして、原告の請求をいずれも棄却した。
事件番号令和3(ワ)1175
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和5年9月11日
事案の概要
本件は、被告道の職員であった原告が、在職中、同性パートナーであるAが北海道職員の給与に関する条例(以下「給与条例」という。)9条2項1号の「届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として同号の「配偶者」に該当し、また、地方公務員等共済組合法(以下「共済組合法」という。)2条4項の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として同条1項2号イの「配偶者」に該当するとして(以下、給与条例9条2項1号の規定及び共済組合法2条4項の規定を併せて「本件各規定」という。)、被告道に対し、Aを扶養親族とする扶養手当に係る届出及び寒冷地手当に係る世帯等の区分の変更の届出を行うとともに、被告共済組合に対し、Aを被扶養者とする届出を行ったが、被告道の職員の任命権者である北海道知事及び被告道の職員である組合員の組合員被扶養者証に係る事項を処理する被告共済組合の北海道支部長が、Aが原告と同性であることを理由に、上記各「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とはいえず、上記各「配偶者」に該当しないとして、上記各届出に係る扶養親族又は被扶養者の認定を不可としたことはいずれも違法であると主張して、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、被告道に対して、損害金合計233万2400円及びこれに対する不法行為の日である平成30年11月14日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、被告共済組合に対して、損害金合計234万7760円及びこれに対する上記同旨の遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
1 本件は、被告北海道の職員であった原告が、在職中、北海道職員の給与に関する条例及び地方公務員等共済組合法において、配偶者には婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む旨の規定(以下「本件各規定」という。)があり、原告の同性パートナーがこれに該当するとして、被告北海道に対し、同性パートナーを扶養親族とする扶養手当に係る届出及び寒冷地手当の届出を行うともに、被告地方職員共済組合に対し、同性パートナーを被扶養者とする届出をしたが、いずれの届出も認定不可とされたことに関し、同認定不可はいずれも違法であると主張し、被告らに対し、国家賠償法に基づき、慰謝料等及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
2 裁判所は、本件各規定は、現行民法上の婚姻関係を前提とする定めとなっており、婚姻の届出をすることが想定されていない同性間の関係は本件各規定に含まれないと解することは現行民法の定める婚姻法秩序に整合する一般的な解釈ということができ、上記法令に基づく扶養手当等の給付保障が公的財源を基盤としていることを考慮すれば、原告の上記各届出を認定不可としたことについて、国家賠償法上の違法及び過失があるとはいえないとして、原告の請求をいずれも棄却した。
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