事件番号 | 令和3(ワ)2595 |
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事件名 | 損害賠償請求事件 |
裁判所 | 札幌地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和6年12月3日 |
事案の概要 | 留置担当者が、原告が拒否したにもかかわらず、弁護人が差し入れた被疑者ノート及び原告の私物のノートを閲覧し、被疑者ノートを持ち去ったことにより、黙秘権及び接見交通権が侵害されたとして、慰謝料の支払を求めた事案。 |
判示事項の要旨 | 【主文の要旨】 1 被告は、原告Aに対し、20万円及びこれに対する令和3年7月6日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、5万円及びこれに対する令和3年7月6日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 【理由の骨子】 原告Aは、監禁の被疑事実により勾留された際、①捜査官らの取調べによって黙秘権、接見交通権及び人格権を侵害された、②留置担当官に被疑者ノート等を閲覧されたことによって黙秘権及び接見交通権が侵害された、③留置担当官に被疑者ノートを持ち去られたことによって黙秘権及び接見交通権が侵害されたと主張して、慰謝料合計120万円の支払を求め、原告Aの弁護人であった原告Bは、これらの警察官らの行為によって弁護人の接見交通権が侵害されたと主張して、慰謝料合計40万円の支払を求めている。 これらのうち、①及び②については、警察官らの行為に違法性を認めることはできない。 他方、③については、原告Aの被疑者ノートは直ちに修繕をする必要性が高かったとはいえず、かつ1~2分で修繕を終えられるものであったにもかかわらず、15分以上にわたり原告Aの手元から離れた状態にされたものであるから、原告らの接見交通権が違法に侵害されたものと認められる。また、原告Aからすれば、このような事態に直面した場合、警察官らがその記載内容を閲覧していることを危惧するのが通常であって、原告Aの黙秘を含む供述意思形成に対する萎縮効果が生じることは否定できないから、上記持ち去りは、その意味において原告Aの黙秘権を侵害したものと認められる。 以 上 |
事件番号 | 令和3(ワ)2595 |
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事件名 | 損害賠償請求事件 |
裁判所 | 札幌地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和6年12月3日 |
事案の概要 |
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留置担当者が、原告が拒否したにもかかわらず、弁護人が差し入れた被疑者ノート及び原告の私物のノートを閲覧し、被疑者ノートを持ち去ったことにより、黙秘権及び接見交通権が侵害されたとして、慰謝料の支払を求めた事案。 |
判示事項の要旨 |
【主文の要旨】 1 被告は、原告Aに対し、20万円及びこれに対する令和3年7月6日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、5万円及びこれに対する令和3年7月6日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 【理由の骨子】 原告Aは、監禁の被疑事実により勾留された際、①捜査官らの取調べによって黙秘権、接見交通権及び人格権を侵害された、②留置担当官に被疑者ノート等を閲覧されたことによって黙秘権及び接見交通権が侵害された、③留置担当官に被疑者ノートを持ち去られたことによって黙秘権及び接見交通権が侵害されたと主張して、慰謝料合計120万円の支払を求め、原告Aの弁護人であった原告Bは、これらの警察官らの行為によって弁護人の接見交通権が侵害されたと主張して、慰謝料合計40万円の支払を求めている。 これらのうち、①及び②については、警察官らの行為に違法性を認めることはできない。 他方、③については、原告Aの被疑者ノートは直ちに修繕をする必要性が高かったとはいえず、かつ1~2分で修繕を終えられるものであったにもかかわらず、15分以上にわたり原告Aの手元から離れた状態にされたものであるから、原告らの接見交通権が違法に侵害されたものと認められる。また、原告Aからすれば、このような事態に直面した場合、警察官らがその記載内容を閲覧していることを危惧するのが通常であって、原告Aの黙秘を含む供述意思形成に対する萎縮効果が生じることは否定できないから、上記持ち去りは、その意味において原告Aの黙秘権を侵害したものと認められる。 以 上 |