事件番号 | 令和6(ネ)10051 |
---|---|
事件名 | 商標権侵害損害賠償等請求控訴事件 |
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
裁判年月日 | 令和7年2月6日 |
事件種別 | 商標権・民事訴訟 |
事案の概要 | ⑴ 原告は、性病専門の医療クリニックである「あおぞらクリニック」(平成25年に新橋院を開設。原告クリニック)を、被告は、性病専門の医療クリニックである「にじいろクリニック新橋」(令和3年7月に新橋院を開設。被告クリニック)を、それぞれ運営する医師である。 原告は、原判決別紙「商標権目録」記載の登録商標(原告商標。令和3年5月21日出願、同年10月18日設定登録〔指定役務は医業及び医療情報の提供〕)に係る商標権(原告商標権)を有するところ、被告は遅くとも令和3年7月以降、原判決別紙「被告ウェブサイト目録」記載の各ウェブサイト(本件ウェブサイト)、チラシ、掲示物、看板等に原判決別紙「被告標章目録」記載の各標章(被告標章1~4、被告各標章)を使用するようになった。 原告は、被告に対し、被告各標章が原告商標と同一又は類似する標章であると警告して交渉し、令和4年8月30日には、被告との間で、被告においては、原告商標と同一又は類似する標章が付されたインターネット上のコンテンツ、看板、ビラ、備品その他一切から当該標章を削除又は撤去し、また、今後、原告商標と同一又は類似する標章を使用しないなどの合意(本件合意)をした。しかし、被告は、その後も被告各標章の使用を継続した。 ⑵ 本件は、原告が、被告に対し、被告において、医業及び医療情報の提供に当たり、ウェブサイト、チラシ、掲示物、看板等の広告に被告各標章を使用する行為は、原告商標権を侵害するものであるなどと主張して、当初、以下の各請求をした事案である。 ア 令和3年10月18日以降(原審段階では令和5年8月17日まで)の被告各標章の使用による商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の一部請求として、2200万円(商標法38条3項に基づく相当使用料2200万円、同条5項に基づく商標権の取得・維持費用等5万円、弁護士費用相当額600万円の合計額2805万円の内金)及びこれに対する令和5年4月9日(訴状訂正申立書送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払請求 イ 医業及び医療情報の提供に当たり、ウェブサイト、チラシ、掲示物及び看板等の広告並びに本件ウェブサイトにおける被告各標章の使用の差止請求(商標法36条1項又は本件合意に基づくもの)と、前記広告に係る被告各標章の付されたチラシ、掲示物及び看板等の廃棄請求並びに本件ウェブサイトからの被告各標章の削除請求(商標法36条2項又は本件合意に基づくもの) ウ 信用回復措置として、原判決別紙「謝罪広告目録」記載2の要領による同目録記載1の内容の謝罪広告の掲載請求(商標法39条において準用する特許法106条) ⑶ 原審は、被告各標章は原告商標と類似すると認め、被告標章1及び被告標章2は商標法26条1項6号に該当せず、被告の「The N にじいろクリニック新橋」との商標について商標法32条1項による先使用権は認められず、原告商標について商標法4条1項10号、19号の無効理由や権利濫用の抗弁も認められないとして、損害賠償請求については、755万6569円及び令和5年8月17日を起算日とする遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、被告各標章の使用の差止請求並びに被告各標章を付したチラシ、掲示物及び看板等の広告の廃棄と本件ウェブサイトからの被告各標章の削除を求める廃棄請求については、これを認容したが、謝罪広告の掲載請求については、原告の業務上の信用が害されたとまでは認めることはできないとして棄却した。 ⑷ これに対し、原告及び被告が、各敗訴部分を不服としてそれぞれ控訴を提起した。 |
事件番号 | 令和6(ネ)10051 |
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事件名 | 商標権侵害損害賠償等請求控訴事件 |
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
裁判年月日 | 令和7年2月6日 |
事件種別 | 商標権・民事訴訟 |
事案の概要 |
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⑴ 原告は、性病専門の医療クリニックである「あおぞらクリニック」(平成25年に新橋院を開設。原告クリニック)を、被告は、性病専門の医療クリニックである「にじいろクリニック新橋」(令和3年7月に新橋院を開設。被告クリニック)を、それぞれ運営する医師である。 原告は、原判決別紙「商標権目録」記載の登録商標(原告商標。令和3年5月21日出願、同年10月18日設定登録〔指定役務は医業及び医療情報の提供〕)に係る商標権(原告商標権)を有するところ、被告は遅くとも令和3年7月以降、原判決別紙「被告ウェブサイト目録」記載の各ウェブサイト(本件ウェブサイト)、チラシ、掲示物、看板等に原判決別紙「被告標章目録」記載の各標章(被告標章1~4、被告各標章)を使用するようになった。 原告は、被告に対し、被告各標章が原告商標と同一又は類似する標章であると警告して交渉し、令和4年8月30日には、被告との間で、被告においては、原告商標と同一又は類似する標章が付されたインターネット上のコンテンツ、看板、ビラ、備品その他一切から当該標章を削除又は撤去し、また、今後、原告商標と同一又は類似する標章を使用しないなどの合意(本件合意)をした。しかし、被告は、その後も被告各標章の使用を継続した。 ⑵ 本件は、原告が、被告に対し、被告において、医業及び医療情報の提供に当たり、ウェブサイト、チラシ、掲示物、看板等の広告に被告各標章を使用する行為は、原告商標権を侵害するものであるなどと主張して、当初、以下の各請求をした事案である。 ア 令和3年10月18日以降(原審段階では令和5年8月17日まで)の被告各標章の使用による商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の一部請求として、2200万円(商標法38条3項に基づく相当使用料2200万円、同条5項に基づく商標権の取得・維持費用等5万円、弁護士費用相当額600万円の合計額2805万円の内金)及びこれに対する令和5年4月9日(訴状訂正申立書送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払請求 イ 医業及び医療情報の提供に当たり、ウェブサイト、チラシ、掲示物及び看板等の広告並びに本件ウェブサイトにおける被告各標章の使用の差止請求(商標法36条1項又は本件合意に基づくもの)と、前記広告に係る被告各標章の付されたチラシ、掲示物及び看板等の廃棄請求並びに本件ウェブサイトからの被告各標章の削除請求(商標法36条2項又は本件合意に基づくもの) ウ 信用回復措置として、原判決別紙「謝罪広告目録」記載2の要領による同目録記載1の内容の謝罪広告の掲載請求(商標法39条において準用する特許法106条) ⑶ 原審は、被告各標章は原告商標と類似すると認め、被告標章1及び被告標章2は商標法26条1項6号に該当せず、被告の「The N にじいろクリニック新橋」との商標について商標法32条1項による先使用権は認められず、原告商標について商標法4条1項10号、19号の無効理由や権利濫用の抗弁も認められないとして、損害賠償請求については、755万6569円及び令和5年8月17日を起算日とする遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、被告各標章の使用の差止請求並びに被告各標章を付したチラシ、掲示物及び看板等の広告の廃棄と本件ウェブサイトからの被告各標章の削除を求める廃棄請求については、これを認容したが、謝罪広告の掲載請求については、原告の業務上の信用が害されたとまでは認めることはできないとして棄却した。 ⑷ これに対し、原告及び被告が、各敗訴部分を不服としてそれぞれ控訴を提起した。 |