事件番号 | 令和3(ワ)10959 |
---|---|
事件名 | |
裁判所 | 大阪地方裁判所 第7民事部 |
裁判年月日 | 令和7年1月30日 |
事案の概要 | 本件は、原告が、本件公開請求時及び本件異議申立て時(以下「本件公開請求時等」という。)には本件文書が存在していたにもかかわらず、大阪市長や被告の職員(以下、単に「職員」という。)がこれを調査・保存することなく消去・廃棄したことは国家賠償法上違法であり、これにより精神的苦痛を受けたなどと主張して、同法1条1項に基づき、被告に対し、慰謝料等合計200万円及びこれに対する平成30年12月25日(本件再非公開決定の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
判示事項の要旨 | 【判示事項】 特定の期間に市長が市の職員と一対一で送受信したメールの公開請求につき、公文書に該当しないとしてされた非公開決定が、別件訴訟の判決により取り消されたが、その後、上記メールが実際に存在しないことを理由に改めて非公開決定がされたため、公開請求後に市長や市の職員が上記メールを調査・保存することなく消去・廃棄したことの国家賠償法上の違法性等が争われた事案につき、原告の請求がいずれも棄却された事例 【裁判要旨】 特定の期間に市長が市の職員と一対一で送受信したメールの公開請求につき、公文書に該当しないとしてされた非公開決定が、別件訴訟の判決により取り消されたが、その後、上記メールが実際に存在しないことを理由に改めて非公開決定がされたため、公開請求後に市長や市の職員が上記メールを調査・保存することなく消去・廃棄したことの国家賠償法上の違法性等が争われた事案につき、要旨1ないし3のとおり判断して、原告の請求がいずれも棄却された事例 1 送受信者以外の者に共有されていないメールが公文書に該当し又は該当し得ることを明確に判示した最高裁判例はなく、その点に係る通説的・支配的な学説も見当たらないなど判示の事情の下では、上記のようなメールは公文書に該当しないという当時の市の解釈運用に相当の根拠がなかったとはいえず、公開請求に係るメールは公文書に該当しないと解釈し、市の公文書管理規程に基づく保存期間の延長をしなかった結果、別件訴訟の第一審判決が言い渡されるまでに上記メールが消去・廃棄されたとしても、国家賠償法上の違法性及び過失があるとはいえない。 2 個別事案における具体的な事情(例えば、取消訴訟等において公文書と判断される可能性の程度、存否の調査に要する労力や時間、保存に係る支障の有無及び程度など)によっては、信義則又は条理に照らし、職務上の注意義務として、公文書に該当しないとして非公開とした文書の存否を調査し、保存等の指示をする義務が発生する場合もあり得るが、全庁的に調査しなければその存否を確定し得ないことなど本件の事情の下では、別件訴訟の第一審判決が言い渡されるまでは、公開請求に係るメールが消去・廃棄されたとしても、国家賠償法上の違法性及び過失があるとはいえない。 3 別件訴訟の第一審判決が言い渡された時点において、公開請求に係るメールが送受信されてから約3年9か月が経過しており、上記メールが存在していたとは認められないから、上記判決後に上記メールの消去・廃棄がされたとは認められない。 |
事件番号 | 令和3(ワ)10959 |
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事件名 | |
裁判所 | 大阪地方裁判所 第7民事部 |
裁判年月日 | 令和7年1月30日 |
事案の概要 |
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本件は、原告が、本件公開請求時及び本件異議申立て時(以下「本件公開請求時等」という。)には本件文書が存在していたにもかかわらず、大阪市長や被告の職員(以下、単に「職員」という。)がこれを調査・保存することなく消去・廃棄したことは国家賠償法上違法であり、これにより精神的苦痛を受けたなどと主張して、同法1条1項に基づき、被告に対し、慰謝料等合計200万円及びこれに対する平成30年12月25日(本件再非公開決定の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
判示事項の要旨 |
【判示事項】 特定の期間に市長が市の職員と一対一で送受信したメールの公開請求につき、公文書に該当しないとしてされた非公開決定が、別件訴訟の判決により取り消されたが、その後、上記メールが実際に存在しないことを理由に改めて非公開決定がされたため、公開請求後に市長や市の職員が上記メールを調査・保存することなく消去・廃棄したことの国家賠償法上の違法性等が争われた事案につき、原告の請求がいずれも棄却された事例 【裁判要旨】 特定の期間に市長が市の職員と一対一で送受信したメールの公開請求につき、公文書に該当しないとしてされた非公開決定が、別件訴訟の判決により取り消されたが、その後、上記メールが実際に存在しないことを理由に改めて非公開決定がされたため、公開請求後に市長や市の職員が上記メールを調査・保存することなく消去・廃棄したことの国家賠償法上の違法性等が争われた事案につき、要旨1ないし3のとおり判断して、原告の請求がいずれも棄却された事例 1 送受信者以外の者に共有されていないメールが公文書に該当し又は該当し得ることを明確に判示した最高裁判例はなく、その点に係る通説的・支配的な学説も見当たらないなど判示の事情の下では、上記のようなメールは公文書に該当しないという当時の市の解釈運用に相当の根拠がなかったとはいえず、公開請求に係るメールは公文書に該当しないと解釈し、市の公文書管理規程に基づく保存期間の延長をしなかった結果、別件訴訟の第一審判決が言い渡されるまでに上記メールが消去・廃棄されたとしても、国家賠償法上の違法性及び過失があるとはいえない。 2 個別事案における具体的な事情(例えば、取消訴訟等において公文書と判断される可能性の程度、存否の調査に要する労力や時間、保存に係る支障の有無及び程度など)によっては、信義則又は条理に照らし、職務上の注意義務として、公文書に該当しないとして非公開とした文書の存否を調査し、保存等の指示をする義務が発生する場合もあり得るが、全庁的に調査しなければその存否を確定し得ないことなど本件の事情の下では、別件訴訟の第一審判決が言い渡されるまでは、公開請求に係るメールが消去・廃棄されたとしても、国家賠償法上の違法性及び過失があるとはいえない。 3 別件訴訟の第一審判決が言い渡された時点において、公開請求に係るメールが送受信されてから約3年9か月が経過しており、上記メールが存在していたとは認められないから、上記判決後に上記メールの消去・廃棄がされたとは認められない。 |